音楽家の話が聴きたい
第一回~音楽プロデューサーの仕事とは~
武部聡志
「今、第一線で活躍する、音楽プロデューサー、アレンジャー、
ミュージシャン達が、ここでだけ教えるマル秘テクニック!
次世代のプロフェッショナルを目指すあなた、音楽業界の裏側を知りたいあなたに贈る
リアルライヴエンタテインメント"音楽家の話が聴きたい。"
学校での講義、ワークショップ、教則ビデオ、どれもが実現出来なかった、
全く新しいテクニックとノウハウの伝承形態がここにある!」
と題して行われた、実質武部ゼミ
同じ形で、2009年に「劇的3時間SHOW」をやりましたけど
それを更に煮詰めた感じかな
プロディユーサーとはなにか、どうやってディレクションをしていくかと言うことを、
第一線で活躍して、しかも一流と呼ばれている人から直接聴ける機会なんてないので、それは行くでしょ
自分はミュージシャンではないけど、そこはフォトグラファーに置き換えて聴きました
第一部は、プロデューサーとはなにをするかと言うことについて語ってくれました
開口一番、「やはり若い人はいないなぁ、だってチケット高かったでしょ」と
導入部は武部さんのキャリアから
まぁ、どの経緯でとかは、省きますね
Pops目指しているなら、音大なんて行ってもなにも得るものはないから、行くだけムダ
そんな事をしなくても、学ぶモノは自分で探すことの方が大事で、場を与えて貰えることが重要
「いきなり音楽プロデューサーにはなれなくて
ミュージシャン、アレンジャー、作曲を経てプロデューサーと名乗れた
どうしたらなれるか、それにはまず、何でもいいので音楽に関わる仕事をするのが一番
音楽学校を出て、最初から「プロデューサーです」とかいっても
世間で認められるものではない。」
かまやつさんと出会って、LPのアレンジをさせて貰ったり、
ユーミンとであって、松任谷さんのプロデュースを間近で見たりしてきた、武部さんらしい
武部さんはプロデュースするにあたり、その人の生い立ちを聞くのだそうです
その人の弱い部分を見ないとプロデュースは出来ないそうです
でっ、実際デレクションをした例として、
NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」のテーマソング、「Progress」を取り上げました
会場には、「Progress」の歌詞カード、マスターリズムとストリングの譜面のコピーが配られました
番組に寄り添ったものにしなければ意味が無いので、この曲を作るに当たって、既存のミュージシャンを起用することは全く考えなかったそうです
プロフェッショナルを扱うのに相応しい、プロのバンドを作る所から始めました
そして、選ばれたのが、スガシカオ、小倉博和、根岸孝旨、屋敷豪太の4人
そして、曲と歌詞が出来たら、手直しをするのですが、
曲はちょっと直したけど、歌詞は全く直しようがなかったそうです
それが出来たら、サウンドメイク
曲の印象が、プロフェッショナルの人生の勝てないとダメだとなって
今日の印象を決めるのは最初のリフが全てと
あの印象的なイントロを小倉さんと作ったそうです
あのイントロ、印象的にするため、わざと普通のチューニングではなく、
弾きにくいコードにしてあるそうです
最後はスタジオセッションになるわけですが
屋敷さんはその日まで参加してなくて、当日参加して合わせただけ
でも、1stテイクだけで出来たそうです
その後なんテイクか録ったけど、1stを越えるモノはなかったそうです
1stテイクは、雑だけどエネルギーが強くて、それを以降は上手くは、なったけどそのエネルギーを越えることが出来なかったそうです
テイクを選ぶのは、上手い下手でなく、"グッと来るキラキラ感"だそうです
武部さんは一青窈さんのハナミズキもプロデュースしてますが、あの曲は1stテイクだったそうです
もの作るに当たって、武部さんが感じたことは
・邪心を持つと成功しない
・もの凄く好きになる、もの凄く伝えたい、もの凄くやりたいという気持ち、と云う意志の強さが必要
・理屈ではなく、何かグッと来るモノを伝えたいという期持つが大事
だそうです
だから、それが詰まった「Progress」は、
10年経った今も「プロフェッショナル 仕事の流儀」のテーマソングなんでしょう
ここで、15分休憩
つづき第二部は、どうやって曲を仕上げていくかを見せてくれると云うものです
今日のゲストの川江美奈子さん(通称:ぎゃんちゃん)が作ってきた曲を、生でプリプロします
最初は二人の出会いなんかから、始まって
ぎゃんちゃんのデモテープを聴いてって所から入って、いつもの調子で
武「出会えてホント良かった」
ぎ「ねぇ、武部さんが生きてるうちに間に合って」
なんて、ポイズン全開w
いざ、始めると
「やらせじゃないんですね」ってw
宿題は1週間前に出されてて、お題は「卒業」
ただし、斉藤由貴の様な、学校の卒業以外の卒業をと
ここで、ぎゃんちゃんが作ってきた曲の歌詞カードと、メロ譜が配られます
歌詞カードを読んだらウルっと、でもってデモが流れたらウルウルと
なんか歳と共に涙もろくなったわw
たった1週間で作ったのに、どこをどう切っても、ぎゃんちゃんだ!と唸らせる、川江クォリティー
歌詞は
A1メロが中学の卒業
A2メロが恋の卒業
A3メロが引っ越し
ぎゃんちゃんが桜色舞うころを作った時代を思い出して、なので途中A1、A2とはコード進行を替えてジャジーになってます、流石バークリーのボサノバの女王
A4メロ親からの卒業
Cサビ
A5メロ 自分からの卒業
武部さんはまず、全体が散文的なのでA4とA5を入れ替えたいと
これには、ぎゃんちゃんが、最近のJPopの定型である、Aメロ、Bメロ、Cサビ、Dメロにはしたくなくて、こうしたと
それには、武部さんも同意見で、定型的な曲ばかりの現状を憂いてました
でも、それはそれ、そうなると、Cサビが1つだとちょっとA4の家族との別れが弱くなるので、A3の後にCサビを入れよう
ってことで、じゃ歌詞を追加してと
悩むぎゃんちゃん
武部さんが話しかけると、「そっちで話しててください、集中できないので」と本気モード突入
武部さんはその間、「プロデューサーの仕事は説得することなんですよ」などと言ってる間にも、頭を抱えるぎゃんちゃん
そして、新しいサビが出来ました
それもちょっと手直ししましたけど
そして、詞が出来たので、次はコードを詰めて行きました
新しくサビが入ったことでA3のA4のコードをぎゃんちゃんと話し合って
替えてたあと、最後の一行が要らないと云うことでカットして完成
(歌詞とか載せられればいいんですけど、未発表曲なので)
出来たことは出来たけど、ぎゃんちゃんは満足してないのが見てとれましたね
お客さんがいなければ、最初の替えるのはすんなりとはウンとは言わなかっただろうし、詞もコード変更も、もっと良いのがありそうと言ってました
なので、追加したサビの歌詞は、武部さんに当てて書いた詞だと僕思いましたけど…
最後に武部さんが、ぎゃんちゃんに、プロデューサってどんな人って聞いたけど
・情景を音にしてくれる人
・気持ちを音にしてくれる人
・曲に色を付けることを一緒にしてたい
と、これはぎゃんちゃんと武部さんの関係そのものですね
武部さんは、「自分の一番濃い部分を作品に反映する」のが大事と言ってました
ちなみにこの曲、リレー形式で次の人がディレクションすることになりました
なので、次の森俊之さん、次々回の本間昭光さんも、ディレクションします
さて、どうなるか楽しみですね
最後にはぎゃんちゃんが「桜色舞うころ」を
これは中島美嘉さんのシングル曲を募集したときに、二人が審査するが人が、ぐうの音も出ない程に作り込んだそうです
そして、1/300の難関を通り抜けて、シングルになりました
それをぎゃんちゃんの弾き語りで1番を、武部さんの伴奏で2番を演奏するので、聴き比べてくださいと
ただし、イントロはどうやってもぎゃんちゃんのものには敵わないので、ぎゃんちゃんのままで
いや~、久しぶりだなぁ、生で聴くの
これで、最後に30分ほど質疑応答して、終演
送り出しのBGMは、もちろん「Progress」でした
いや~楽しかった、本当に良い経験をしたなぁ